21:日本人の甘さ 2004年12月15日更新

先日、アルバイト先で、日本人とのトラブルがあったから電話してくれと頼まれました。5000ユーロの買い物を500ユーロだと思って勘違いしたらしいから、よく説明してくれとの事です。
なんとまあ、お客さんの方からすれば、日本円にしたら7万円だと思っていたら70万円だったという間違いになります。何をどう説明したらいいのか、、、。

さて、私のアルバイトですが、ベネチアが世界に誇るガラス、その制作地であるムラノ島のガラスのお店で店員として働いています。

ひと昔前は、ベネチアンガラスは日本でもかなりもてはやされたようですが、今は下火で、世界的な不景気もあり、閉まっていくお店がいくつもあります。
そして、不当に高い値で大して価値もないものを売りさばいた時期があり、悪い噂が広まったせいで、お客さんも疑い深くなり、さらに自らの首を絞めている状態にあります。おまけに、安い物を売ろうとして、ムラノ製でないものをムラノの手作りだと偽って売っているお店がいっぱい。今は、ベネチアで賢くガラスの買い物をしようとしたら、かなりの知識が必要です。

さて、私がアルバイトしているお店はと言うと、うーん、ムラノ製でないものもありますね。しかし、実際、100%ムラノ製のガラスを売っているお店っていうのは、ごく少数なんですよ。何がムラノ製でないかと言えば、一部の日常使い用のグラスが、聞くところによればトスカーナの方で作られているそうです。でも、これも、元々、ムラノ等の職人があちらに招かれて、ムラノの技術でムラノ風のものを作っているので、大目に見てあげたいです。

そして、値段の方ですが、高いと言えば高い、しかし、こちらでは買い物の仕方も日本と違うので、それを考慮する必要があります。イタリアだけでなく、ヨーロッパの貴族や上流階級の生活っていうのは、一般庶民とはかなり違うんですよ。ベネチアに来たんだからガラスでも買って行きましょうかという上流階級の人が、ホテルからボートを出してもらって、格式のあるお店で買う、というのが元々のスタイルだったそうです。そういうお客たちは、値段も見ずに買い物をし、お店も知識を備えた販売員をそろえ、超高級品のみが取り扱われていました。オーナーの話によると、昔は、一日に多くて5組くらいしかお客さんは来なかったけど、みんな大きな買い物をしていってくれたそうです。

そして、その形式だけを真似して、質の下がる商品をそろえ、価格だけは一流品と同じというひどいお店が一時期増えて、それで悪い噂が広まる事になってしまいました。実を言うと、アルバイト先のお店も、ここ10年くらいで格が下がって、ムラノ外のものも売るようになってしまいました。そんなお店で働いていますが、日本人はほとんど来ないので、私はシャンデリアの組み立てをしたり、お客さんの要望を聞いてデザインをしたりと、週3日のアルバイトをしています。

そしてごくたまに、クレームを取り扱う事になります。
日本人は英語が苦手だから、私が話を聞き、対応するという、イタリアにしてみれば、なんと親切なお店!クレームなんて、言葉がわからないからとしらばっくれるのが通常のお店なのに。

たいていは、届いたものが割れているのでどうしたらよいかと言う問い合わせで、この場合は保険がきくので、写真を撮って送ってもらって、割れた品物の返品や交換を交渉をする事になります。


そして今回のクレームは、金額の桁を一つ間違えたというとんでもないもの!
私のいなかった日なので知らなかったのですが、11月の初めにやってきて、花瓶を二つ購入し、輸送したら、値段が違うと支払ってくれないとのこと。書類を見ても、5000ユーロと明記してあるし、一桁違うなんてどういうこと?と、電話してみました。

母娘でベネチアにやって来て、お店で花瓶を気に入り、二つで500ユーロ、日本円だったら約7万円、それだったら安いねと気軽に購入したのに、カード会社からの請求書は5000ユーロ、約70万円で、それだと話が違うから返品したいとのことでした。購入した花瓶は、ムラノ島でも指折りのすばらしい作家の物で、オリジナルのモザイク技法を使った手の込んだ品なので、それが二つで500ユーロのわけがなく、保険込みの輸送料だけでも数百ユーロはかかります。

「値段の交渉をした時、500ユーロって確認したんですよ。だましたんですか?」
「うちのお店の人は、そんなこと絶対しませんし、桁を間違えたりしません。第一、書類には5000ユーロって書いてあるし、サインしていただいたカードのレシートにも5000ユーロとなっています。」
「そんな、普通、5000ユーロの買い物なんて、簡単にするわけがないでしょう!」
「いや、こちらに来られるのは、そういう買い物ばかりのお客様です。」
「、、、。とにかく、返品したいのですが。」

販売を担当した人も、責任者に交渉してくれたのですが、「こっちに落ち度はないし、品物も届いているし、返品なんてできないよ」、そうなんです、イタリアで一度支払ったお金はそんな簡単に戻って来ません。コネと努力をフル回転して使っても難しいんです。

それなのに、そのお客さんは、「そちらにメール送っても、今まで連絡なかったじゃないですか」「カード会社も調べますって言ったきり連絡がありません」と、人まかせっきり。おまけに、「カードのレシートに書いてあった金額はよく見ずにサインしてしまいました」、だから返品したいって?!

ああ〜、もう、なんて日本人って甘やかされてるんだろう。
「70万円も払えません。」と泣き声で言われても、お店側にミスはないし、私も八方ふさがりです。
とりあえず、言ったのは「カード会社の連絡なんて待っていないで、お客様の方から何度でも電話して下さい。」と、アルバイト先に背く言葉でした。
そして今、カード会社の判断を待つばかりです。

00:自己紹介

01:勉強のしかた

02:イタリア人の口説き方

03:携帯電話とアリ

04:複数形と眉毛

05:ベネチアでお好み焼き

06:miya、怒られる

07:悲しい出来事

08:ピザ奉行

09:9月から新学期

10:ワークショップに参加しました

11:アクアアルタの予感

12:グラフィックフェスティバル

13:2年前の10月

14:食事に困らないイタリア

15:映画の撮影現場

16:アクアアルタで浸水

17:またまたアクアアルタ

18:学校の友達と夕食会(?)

19:イタリア人気質

20:フェニーチェ劇場のコンサート

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