miyaのベネチアレポート
09:9月から新学期
大学の本格的な授業は10月から始まりますが、なんといっても前期の追試が9月から始まるんです。かく言う私も、2、3ほど受けないといけない試験を残しています。
進級は、8割の試験に受かっていたらできるので安心ですが、パスできなかった試験は年々溜まっていくのでうかうかできません。

そして,入試があるのも9月になります。
今年は9月入ってすぐに試験があったらしく、学校には、もう合格発表の紙が張り出されています。
しかし、これがまたイタリア、受験生全員の名前と生年月日と、さらに試験結果の順序が記入してあるんです。プライバシーのかけらも見当たりません。
今年は550人以上受けたらしく、イタリアにしては厳しい試験だったようで、受験生たちにちょっと同情してしまいます。

外国人は、別枠で同じ試験+イタリア語の試験を受けます。
これは,わりと簡単に合格できるのですが、私が受けた時は外国人枠20人に受験生9人だったので,みんな合格していました。
しかし、翌年からは外国人枠は10人に減っていました。

留学生は、私以外はみんな旧ユーゴ圏の人たちです。
クロアチアはグラフィック分野に強く,いい学校があるらしいのですが、アートの分野は募集が8人くらいと、クラスの子が言っていました。
だから、みんな近くて入りやすいベネチアの学校へ来るそうです。

今年こそは、日本人いないかなーと思って、合格発表の紙を眺めていましたが、みんなユーゴ圏風の名前ばかりでした。また今年も唯一無二のアジア人になりそうで、誤った日本人観をみんなに与えてしまうのでしょうか。


そして、旧ユーゴ圏の人たち、みんな仲がいいんですよ。彼らの言葉は、一種の方言くらいの違いで、お互い普通に話が通じるそうです。
否イタリア人ということで、私も彼らの仲間に入れてもらっていますが、その時はイタリア語。でもお互いにとって外国語なので、間違えても気楽に話す事ができます。

実は、旧ユーゴ圏は長期の紛争があったと悲壮的なイメージを持っていたのですが、話をしてみると、ただ普通の若い学生というだけです。そして、ここイタリアでは、セルビア人もクロアチア人もユーゴ人も仲良くしているのが、戦争の意味のなさを物語っている気がします。

ベオグラード出身の女の子は、ベネチアは遊ぶところがなくて退屈、あっちにいた時は、毎晩、映画や踊りに行ったりしてたのにと言っていました。セルビアは、ヨーロッパの中でも治安が良くて、生活水準も高い国だそうですし、実際セルビア人の子たちは、バカンスにロンドンやシドニーの親戚を訪ねに行っていたりします。

ただ、アルバムを見せてもらった時,子供時代からいきなりここ最近の写真に飛んだので、「この間の写真はないの?」と聞いたら、その時期は撮れなかったのよと静かに言われた事があります。ちょうど10歳頃からの数年分、絵を描くのが大好きな女の子はどんな思いをしていたのでしょうか。
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