miyaのベネチアレポート
19:イタリア人気質
みなさん、イタリア人についてどんなイメージを持っていますか?
陽気でおしゃべりで、オ・ソレ・ミオを歌いながらスパゲッティを食べている、そんなステレオタイプなイメージじゃあイタリア人も怒るのではと心配になるかもしれませんが、実際に言ってみたら「俺たち、そうかなー。あっはっは!」と笑ってくれるほど陽気な人たちです。

もちろん、暗い人もいますが、基本的には、みんなジョークが大好き、何でも笑って済ませてしまう、失敗してもうまいジョークで笑い飛ばしたらそれで大丈夫、クヨクヨしない。なんだか楽しそうな毎日だろうなと思いきや、みんながこうだとかえって何も前に進みません。法律はコロコロ変わるし、みんな言いたい放題、やりたい放題、勝手で、本当にイメージ通りの国なんです。

そうそう、おまけに、毎日、スパゲッティというか、パスタ料理を食べるんです。
毎日の昼食がトマトソースのスパゲッティでも大丈夫なんですよ。これは、国際色豊かな日本の食卓を思えば、信じられないくらい単調な食事です(もちろんとてもおいしいですが) 。外食と言ったらピザか、よく頑張って中華料理。でも、最近、中国人のウケが悪いので、それも減ってきたようです。


さて、今回は、私が「さすがイタリア!」と思った事をいくつか紹介します。

1:テレビで議員らしき人が演説をしていました。予算削減についてなのですが、「道路の交通標識、特に、最高速度140キロの標識は必要ない!だれも見ないし、守らないじゃないか!」なるほど納得。確かに、それも一理ありますが、外国から来る人たちは、もっとお行儀が良くて標識を守りますよ。イタリア人の運転の荒さは有名です。

2:電話会社から、通話料金が安くなるサービスがあるけど使ってみないかというセールスの電話が友達にかかってきたそうです。でも、その人は、一週間後に引っ越しをするため、引っ越しまでの電話料金はどうやって支払ったらよいかと尋ねたところ、「どうせ、電話の名義はあなたではないんでしょ?だったら踏み倒していいわよ。でも、私が言ったって事は内緒にね。」って、電話会社の人がそんな事言うの?!会社に対する忠誠心 のカケラもありません。

3:子供がクイズに答えるテレビ番組で、10人くらいの子供たち全員が答えを間違ってしまったので、司会者が「こうやって君たちは新しい知識を学んでいくんだよ」とお説教を始めました。ただのクイズに大げさなんですが、ほめるのも上手で、失敗したときのフォローもうまいもんです。

4:あるお店で、私が通訳として同席していたときの事です。日本人のお客さんがホットレモンを飲みたがったのですが、お店にレモンなんてありません。そこで、近所のおばさんに頼んで一つ分けてもらったのですが、それもちょっとしなびていたので不安に思っていたところ、店員が自信満々に「これはシチリアのレモンです。いい香りでしょう!」とカッコよくレモンを搾って本当においしそうなホットレモンを作り出してしまいました。「つまらない物ですが、、」とか謙遜されるよりより、「おいしいわよ!」とポジティブなことを言われた方がいい錯覚をするもんだと目の前で確認しました。

5:友達(男)が私の前にひざまづき、「ヨガを習いだしたんだけど、 こうすると手のひらからエネルギーが出るんだって。」と両手を私の胸の方へ向けました。「触ったりしないよ。もし触ってしまったらカプチーノを一杯おごるよ。何か温かいエネルギーを感じない?」「ええ?何も感じないけど」「何も?」と不安そうな顔をしたと思いきや、チョンと私の胸をつついて「わーい!」と逃げて行きました。逃げながら「カプチーノ、おごるから!」って、初めから触る気だったなんて!でも、これくらいのジョークなら笑って楽しめるので許してしまいます。日本の男性もお試しあれ。カプチーノでもコーヒーでもいいから、一緒に飲むいい口実にもなります。しかし、かなり仲良しの女の子を選ぶ事。

6:病院で入院しているヨボヨボのおじいさんに、隣のベットのおじさんが「いつになったら彼女を紹介してくれるんだい?20歳の彼女、いいなー。取られると思って来させないのかい?見るだけならいいだろ?」と延々と言っていました。言われているおじいさんは、ほとんど半身不随で、20歳の彼女も何もないもんですが、そういう大ボラジョークは楽 しい気分にしてくれるので罪がありません。
ところで、病院と言えば、しょっちゅう検査を失敗するんですよ。血液検査を他の人と間違えられたのでやりなおしたという話は3人から聞きました。かなりの確率です。「そんなの、間違えたら日本じゃニュースになるわよ」と言えば、「誰だって、間違いはあるさ。日本人は間違っても黙ってるんじゃないのか?」と聞かれました。そうは思いたくないけど、とにかく、イタリアはシステム的に間違えやすくなってるんじゃないかと思います。

7:テレビのショッピング番組、いろいろありますが、絵画の販売番組がなかなか面白いです。主にシルクスクリーンなどで、あまり価値のないようなものばかりですが、司会者が個性的で、テレビの裏方に向かって「何?いくらだって?もっと安くならないのか?いいだろ、200ユーロにしようよ」などと交渉したりします。熱が入ってくると、「本当にいい絵だなー。俺が買いたいくらいだよ!売れなかったら買うよ!」と大胆な事を言い始めます。他にも、例えば、日本では「この桐箪笥を買ったら、 おまけでもう一つ同じ物がついてくる!」というのがありましたが、こちらでは「ワイン1ダース買えば、おまけでもう1ダースついてくる!さらにチーズも!」とイタリアらしい物になります。


概して、イタリア人(もしくはベネチア人)は、計算ができないように思えます。ユーロになってからの異常な物価上昇もその結果でしょうが、それだけでなく、人間関係においても、小難しい事考えないで、ストレートにぶつかってきます。もうちょっと頭を使おうよと言いたくなる事もありますが、計算高くないシンプルな性格はイタリア人の良いところだと思います。

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