アンテナ設計ソフト(YO)

【このページの最終更新日:2009年12月18日】

0.ちょっと「まえがき」

このページに掲載している記事は1997年1月に執筆したものですが、その後パソコン環境がWindows全盛となり、ここで紹介しているYOと言うPC-DOS上でしか動かないソフトはもはや「前世代の遺物」と言う事で、過去の記事として今まで葬って来ました。  ところが!先日このソフトがWindowsXPで直接動く事を発見し、急遽復活させる事にしました。

PC-DOSで書かれたこのソフトは、Windows95のDOS窓では動きますが、それ以降のWindows98のDOS窓や、WindowsXPのDOSプロンプトでは全く動作しません。 ところが特殊なコーディングがされているのでしょうか、WindowsXPのエクスプロ−ラで、Windowsアプリケーションの起動と同じように実行ファイルをクリックすると、見事フル画面で起動し、完璧に動作することを偶然に発見したのです!(本当に不思議です!でも動くんだから理屈はどうでもいいですね〜)

動くにしても何故、今更YOなのか???
それは、最近のWindows版の色々なアンテナ設計・シミュレーション・ソフトを使って、その機能の悪さ、特に設計上のユーザー・インターフェース(こうしたらどうなる?等の設計者の思いを直接分かり易くソフトに反映させるインターフェース)の良さ、操作の機敏性や簡便性、更に動作の速度、シミュレーション回数の多さ、シミュレートできる条件の多さなど、
どれをとってもYOを上回る物がないからです。 多分に私の個人的な好みかもしれませんが、本当にYOは最高のアンテナ設計ソフトだと思っています。


下の画像は、PC-DOS環境のノートPCでYOを走らせている様子です。 今やこんな環境のPCを持っている人は滅多にいない事でしょう。




ところが・・・ WindowsXPのPCで、エクスプローラを使って



信じられない事に、見事にYOが立ち上がります!!



これには本当に驚きました! お陰さまでこのYO、今後とも末永くその恩恵に預かる事になりました。


【おことわり】
現在、YOの入手が可能なのか、作者K6STIがご健在がどうかもわかりません。 ネット上の検索でも出てきませんので、新規入手は不可能ではないかと思われます。
既に購入している方から譲ってもらうしか方法がないかもしれません。 ただそれだけ苦労して入手しても十分値する価値があるソフトである事を申し添えておきます。



【このページ(これ以降)の最終更新日:1997年1月26日】


1. パソコンによるアンテナ設計


当局がブーム長15mの18MHzの7エレを「YO」(Yagi Optimizer/by K6STI)を使って設 計・製作した数年前は、まだまだ一部のハムしかパソコンによる設計にチャレンジしておらず、ある ハム雑誌にその特集記事を執筆したところ(月刊ファイブナイン誌1994年7月号)大変大きな反響・問い合わせがありました。 今では多く の方が色々なシミュレーション(設計)ソフトを活用されていると思います。

当時当局が雑誌の記事(他バンドのアンテナ)を参考にカットアンドトライで作っていた初代18M Hzz7エレは、十分に性能を引き出せず苦しんでいました。 何せ、3エレからスタートし、4エレ 5エレ、6エレ、7エレと、ブームを継ぎ足しながら2〜3週間おきに「グレードアップ」させて行 ったのですが、4エレ以降は、エレメントを増やしてもグランドウェーブで測定したフロントの電界 強度は変わらず、エレメント長やスペーシングをあ〜でもないこ〜でもない、といじくりり回して、 もはやグチョグチョの泥沼に入り込んでしまいました。(Hi)

今から思うと、随分無謀な事をしたものです。 YOを使ってパソコンでシミュレーションをしてみ れば一発でその愚かさがわかります。 八木アンテナは本当にデリケートなアンテナで18MHzで もエレメント長やスペーシングをわずか1cm変えただけで、ビームパターンやフロントゲイン、FB 比はガタガタになってしまうのです。 これが「カットアンドトライ」で解決できる訳がありませ ん。 もはや、この手のソフト無しではアンテナ等自作しようとも思いません(Hi) (但し、同 じアンテナでも、キュビカルクワッドはかなりブロードですから、まだカットアンドトライの余地は あります。 でも八木は極めて困難です。)

2. YO / Yagi Optimizer

今では、他にもFBなソフトがあると思いますが、当局はここ1992年頃から、K6STI作な る、このソフトを愛用しています。(と、言うか他のソフトを買うお金がない!)K6STI氏にFAX 一本で発注し、(クレジットカード決済)わずか4日後にFDが航空便で届いたのにはびっくり しました。 DOSのソフトでWindows版ではありませんが、その分動作は俊敏です。 (当初購入費用は50ドルだったと思います。現在は Ver6.5を使っています)


YOは以下のファイルで構成されています。

YO.EXE Yagi Optimizer program
UNIVESA.EXE Universal VESA Video BIOS Extension (freeware)
UNIVBE43.EXE Universal VESA Video BIOS Extension (shareware)
V.EXE File viewer
TOPF.EXE Converts .PLT plot files to OpenPF plot files
YO.DOC YO documentation
OPENPF.DOC Documentation for the OpenPF plot-file standard
CHANGES.YO YO revisions
*.YAG Yagi files


YOでは

・アンテナの設置高
 ・共振周波数
 ・SWR
 ・FB比
 ・ブーム長・太さ
 ・エレメント長
 ・各エレメントのテーパリング条件(直径何mmのパイプ何cmに直径
  何mmのパイプを何cm継ぎ足して更に直径何mmの.......)
 ・アルミニウムの材質
 ・給電マッチング方式
 ・マストクランプの形状・大きさ

等の変動ファクターをすべて取り込みシミュレートします。 計算中の各数字や実際のアンテ ナ平面図がリアルタイムに動いて行く様は、見ているだけでも楽しいものがあります。


3. 実際のシミュレート例

以下は、実際に当局が現用中の14MHz 5エレ(12mブーム)の計算結果です。 ちなみに、 当局はこの寸法通りに作製し地上高22mにいきなり上げましたが、『全くの無調整』です。  SWRは両バンドエッジで1.1以下です!! バンド中どこへ行っても反射はほとんど検知でき ません。 ビームパターンもほぼシミュレート通りです。



最適化を行うメイン・ページ




各エレメントのテーパーリング(太さ別パイプ長)条件を設定可能




フロントゲイン、SWR、F/B比、インピーダンスのグラフ表示




水平面指向性パターン




垂直面指向性パターン




同じアンテナを地上高100mに設置するとこんなに超低打上角に!!



上の画像ファイルはいずれもYOが直接出力した、PCXファイルです。

また次の様なエレメントの詳細寸法(テーパリング条件)等の入ったファイルも出力します表の一番 上の行はエレメント直径、その下は角エレメントのパイプ径毎の長さ、一番左の列 はエレメントス ペーシングをあらわします。


5 element Yagi for JR1MAF
Height 22000.000
14.000 14.175 14.350 14.258 MHz
5 elements, millimeters
               22.5000   19.0000   16.0000   13.0000   10.0000    8.0000 

0.0000 950.0000 850.0000 850.0000 1605.0000 1265.5325 0.0000
2026.3319 950.0000 850.0000 850.0000 1360.0000 1219.8965 0.0000
3186.2268 950.0000 850.0000 850.0000 1356.0000 1194.1265 0.0000
6746.4307 950.0000 850.0000 850.0000 1300.0000 1142.2227 0.0000
12000.0000 950.0000 850.0000 850.0000 1270.0000 904.3046 0.0000

Hairpin Match should be: 8/150/500/5044.7/80


4. YOの連絡先(購入申込先)

Brian Beezley, K6STI
3532 Linda Vista Dr.
San Marcos, CA 92069

(619) 599-4962
0700-1800 Pacific Time





【追記1】
(更新日:2009年12月18日)

上記記事中でご紹介した、当局が執筆した月刊ファイブナイン誌の記事「市販アンテナをベースにYOで18MHz帯7エレ八木を作る」(1994年7月号)をPDFファイルに致しました。 YOが更に詳しく紹介しています。 ダウンロードしてご覧下さい。

ダウンロード





【追記2】 (更新日:2009年12月19日)

WindowsXP上で復活した(本ページトップご参照)YOで、久し振りにアパマン・ハム局から依頼された430MHz5エレ八木を設計しました。   こんな感じでスタック・アンテナの設計もできるんだと言う所をご紹介する為に他に追記掲載します。
沢山の設定画面、算出画面がありますが、とりあえず基本データがわかる数画面を貼り付けます。

彼はバンド中でフラットなSWR特性を気にしているようなので、SWRのフラット性にウイエトを置きました。 またベランダ設置で場所をとりたくないようなのでブームは57cmに留めてみました。
マッチングは簡単なヘアピンマッチにしました。 ヘアピンの寸法も出ています。 取り付けマストクランプの影響は無視しました。 地上高2mで算出しました。




次にこのアンテナをスタックをしたらパターンとゲイン(←印しておきました)がどうなるかシュミレートして見ました。
20スタックは針ですね! ローテーターのバックラッシュで切れてしまう!! シングルと2スタックの差は本当に大きい! シングルはダメですね。




最後に、2段スタックを前提に、そのスタック間隔をどう選んだら良いかシュミレートしてみました。
HF帯でよく使われている0.5λはゲインもパターンもダメですね。 0.7λ前後がパターンも素直で、妥協点みたいです。 ゲイン自体は2.5λ前後で最大になりました。 あとはむやみに広げて行ってもパターンが・・・






検索エンジン等 から直接このページをヒットされた場合は Top PageよりアクセスするとMAFNETの全てのペ ージがご覧になれます