3.5〜50MHz用VFOの製作
(MAFVF-350A)

【このページの最終更新日:2010年9月20日】

3.5MHz〜50MHzの送信機(MAFTX-350A)に接続するVFOです。 50MHzを含んだオールバンドで安定でかつ十分な出力を得るように工夫しなければなりません。 

VFOの顔となるダイアルには、受信機と同じミツミのMD-5を使いたかったのですが、何せ50年前の代物でいつ入手できるか目処も立たないので、オークションを物色して見つけた松下の低周波発振器のジャンクを2,300円で落札し、これまたアンチークなデザインの目盛板付バーニャダイアルを活用する事にしました。  ケースは送受信機と同じシリーズでサイズの小さいAS-3を使用しました。(クリコンと同じです)




「まずは姿ありき」プロジェクトに従い、中身はほとんど空っぽだが外観は完成した当機です。  




こちらがとりあえず出来上がった回路図です。 LC-BOX等トリオVFO-1のジャンクパーツを利用する事もあり、オールバンドVFOとして定評のある同機の回路をベースにしました。 スタンバイ時に発振は止めたくないのでバッファー以降はBラインをカットしますが、発振の6BA6は生かし、出力をリレーでグランドに落とす方式にしました。 (グランドに落としても漏れでキャリアーが受信される様でしたら、リレーを使う強み?でCでも足して周波数をシフトさせるなどの手を考える事にします。)

あくまでも「着工時」の図面なので、製作の過程で変更が加えられて行くと思います。(最終回路図は、当機が完成した段階で、最終版を掲載致します。)




この表は、このVFOと送信機を含めた、送信系統全体の周波数構成をまとめたものです。
VFOの発振周波数自体は、50MHz以外のHFバンドはすべて3.5MHz台ですが、スプレッド幅は同じ3.5MHz台でも3.5MHzバンドと28MHzバンドは他を引き離して大きくなります。 他のバンドをダイアルにできるだけ広く展開させる為に、3.5MHzと28MHzの2バンドは、バンド切替で別グループとし、変化量を大きく取れるようにVCをパラに追加する設計となっています。




それでは最初から順を追って製作過程をご紹介して行きます。




VFOの要となるダイアルですが、受信機と同じミツミ製MD-5の入手見込みが立たないのでこの測定器ジャンクを入手しました。 とりはずしてみたところ流石測定器で裏側に付いているバーニャのメカはMD-5よりしっかりした感じでず。 もちろん問題なく使えそうです。 




この目盛盤を受信機のMD-5の時と同じ手法を使って描き替えました。 各バンドの同心円のスケールを描くのが大変で、結局パワーポイントで同心円を作画したものを、画面キャプチャー・ソフトで画像化し(パワーポイントの画像ファイル出力機能は解像度が低くて使い物になりません)、それをフォトショップで取り込んで苦労して合成しました。 結局目盛盤作成だけで丸一晩かかってしまいました。

各バンドの目盛りは現時点では決定不能ですので、外周に分度器目盛を残して暫定目盛盤としました。 完成後、実測した周波数と分度器目盛を記録して、再度バンド毎に目盛りを記入したものと入替予定です。 

照明の麦粒球を入れるスペースが全く無かったのですが、ベークのフレームに穴を掘りうまく2個挿入しました。 このダイアルも雰囲気満点の出来となりました。 バーニャダイアルのタッチも非常に良好です。




LCボックスと電源トランスを取り付けました。 当初仮取付していたトランスは電流容量が不足気味なので、トランスが発熱してはVFOとしては話しにならん、と新たにオークションで入手したトランス用に穴を開けなおしましたが、スペースはギリギリで、おかげでLCボックスの裾を一部カットする羽目になりました。




まず最初の難関は、VFO-1の解体部品の2回路3接点のロータリースイッチ(上の写真)では接点数が一つ足りな いし、回路数もひとつ足りない!  初めての挑戦でしたが、手持ちのロータリースイッチを次々にバラ し、ウエハーとか使えそうなのを選び、長いセンター・シャフトと2本のロングビスやパイプだけVFO-1のロータ リースイッチから取り、長さを揃えてカットしてスチールのカプラーを使って4接点ロックのカラーにジョイントして作ってしまいまし た。(下の写真)

※ 最初に作ってしまったパネルではバンドスイッチが3接点になっていますが、回路を検討した結果、出力同調回路の定数切替もこのスイッチひとつで済まそうとすると、更に1回路必要で、接点数も4接点必要な事がわかりました。(3.5/7〜21/28/50の4バンド切替)




ロータリースイッチがうまく収まりました。 トランスの穴開けの手抜きがモロ見え! これではあまりに情けないので、後で修正・仕上げ加工をします。




まずは、ここがうまく行かないとどうにもならんLCボックス内を完成させました。 ここはトリオVFO-1のパーツをそのまま利用しました。 要の部分なので時間をかけて丁寧に工作しました。




シャーシー内の配線は、とりあえず電源回路から。 ダイアルの照明とパイロットランプ(ネオン球)、それにシャーシ上のスタビロ(定電圧放電管)を点灯させ、怪しい喜びに浸ります。(笑)
スタビロの紫色の灯は、いつ見てもいいもんですねぇ。 真空管の装置っていいなぁって思う瞬間です。 ソリッドステートのデジタル機器達よ!くやしかったらこのスタビロの光を出して見よ!




まずは発振段の6BA6の配線を済ませました。 ロータリースイッチのど真ん中の真下(真上)です。 わずかなスペースでサーカスをやりながらの3D配線です。
(真ん中の2つの黒い電解コンデンサーの右上の赤い線は、未配線の+Bライン)
この状態で通電して発振を確認しました。 ちょうど3.5MHzの国内ライグチューをワッチしながら作業していたのですが、このままの状態でVFOのダイアルを少し回してみたら、なんとすぐにピュ〜〜〜とビート音が!
大変きれいなキャリアーでまったく濁りがありません。 しかも発振直後から全くQRHがありません! もちろんケースがオープンなのでLCボックス内の温度上昇も全くない為ではありますが、それにしてもまるでSSB機でマーカーをオンにした感じです。 ダイアルのタッチとビート音の変化の具合も申し分なく、気が早い話ではありますが、この瞬間に今回の送信機系統が実用性をもって完成するであろう事を確信しました。




すべての配線が終わりました。 とにかくソケットまわりのスペースが無いのには閉口しました。 超3D配線でなんとかまとめましたが、このケースのシャーシが浅いのにも苦労させられました。 格好先にありき設計の辛いところです。




こちらがシャーシ上の様子です。 これから調整にとりかかります。




出力増幅段の同調回路のバンド切替の部分でかなりしこりましたが、調整に丸一昼夜かかって全バンドで安定し た出力が出るようになりました。

さっそく既に完成している送信機MAFTX-350A)に接続してみました。 出力が足りているか不安だったのですが、全バンドで無事動作を確認しました。  このVFOのLOWインピーダンス出力端子に8Vの豆球を接続すると電球が切れんばかりに輝きます。 ダミー繋いで測定したらなんと出力が1.8Wもありました。 6AQ5ファイナルの立派な送信機であります。(笑)
ただ7MHzと8MHz出力(28MHzと50MHz用)では情けない程しか点灯せずかなり心配だったんですが、実 際に接続してみて、問題なく送信機側でクリスタルと同じ出力が出ているのでホッとしました。

大変だったのはこの後の仕上げ、ダイアル校正と目盛板の作成でした。  周波数カウンターでいちいち確認しながら、全バンドで10〜100KHz毎にダイアル位置を角度目盛で記録し、ダイアル展開上の回転角度に変換し、フォトショップで既に得ている暫定目盛板に文字を与えられた角度に回転させて割り出された目盛位置に貼り付けたり、と描くのにぶっ続けで12時間以上かかりました。

描けた目盛画像をプロフォト・ペーパーに実物大に印刷し、それをラミネート加工した上で、オリジナルのアルミ製目盛板に合わせて丁寧にカットした上でダイアルに貼り付けました。




無事完成した送信機ラインです。 バーチカル・ホイップ・アンテナ+AH-4につないで、あちこちのバンドでチューンを取って遊んでいます。 こうなると、一日も早く受信機を完成させたくなります。
このリグで実際にQSOするのが楽しみです。 AMは相手探しに苦労するかもしれませんが、CWは問題ありませんので、今からワクワクしてしまいます。





これが最終的な回路図です。 詳細はこちらからPDFファイルをダウンロードしてご覧下さい。




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