7〜50MHzクリコンの製作
(MAFXC-750A)

【このページの最終更新日:2010年10月31日】

3.5MHz〜4.0MHzの親受信機に接続する7MHz〜50MHzのクリスタル・コンバーターです。 

CQ誌に掲載された過去の製作例には50MHzだけ別回路にする方式がほとんどですが、あえて単一回路でのカバーを目指します。

コイル群が多くなり大変なので、トリオのプリコンSM-5Dのジャンクを格安で入手し、内蔵のコイルパックを改造して使う事にしました。 3.5MHzのセクションは使わない(親受信機単体のシングルスーパーで使用する)ので、そのセクションを50MHz用に改造しようと計画しました。

リードのAS-3ケースに収めたかったので、コイルパックの形状で制約されるので内部の配置には全く余裕がなく、少ない選択肢の中でパネルのつまみ配置は決まってしまいました。




「まずは姿ありき」プロジェクトに従い、中身はほとんど空っぽだが外観は完成した当機です。




こちらがその後完成した回路図です。 トリオSM-5Dに使用していたコイルパックを改造して使う関係上、基本的に同機の回路構成を取り入れました。 
あくまでも「着工時」の図面なので、製作の過程で変更が加えられて行くと思います。(最終回路図は、当機が完成した段階で、最終版を掲載致します。)





それでは最初から順を追って製作過程をご紹介して行きます。




まずはジャンクのトリオのプリコンバーター「SM-5D」から取り外したコイルパックの改造から始めました。 
上の写真の一番奥のトリマーが付いているコイルが3.5MHzですので、各段からそれを取り外し、すべてのコイルを、奥側にひとつずつ移動させました。 この移動を行うためには、一度ロータリースイッチを分解してコイルパックをばらさないとできません。 
一番手前(ロータリースイッチの左側)の元28MHzのコイルが取り付けられてたセクションが空きましたので、ここにあとで50MHz用のコイルを自作して取り付けます。(50MHzでリード線が一番短くする為に、この移動が必要です)




リードのAS-3はシャーシが浅くて、コイルパックが入りません。 止むなく手持ちのシャーシを板金加工して交換しました。 ご覧のとおりボコボコのすざましい手抜き加工ではありますが、強度はしっかりととれています。
(上に乗せたシャーシがAS-3オリジナルのシャーシです)




裏側からみるとそれほどみっともなくない?シャーシに、無事コイルパックが収まりました。 しかし真空管スペース(右側)はわずかしかなく、この後も工作は大変そうです。




わずかなスペースに真空管3本を取り付けました。 配線スペースに全く余裕はありません。
ここで一旦コイルパックを取り外しました。 3.5MHz用のコイル群をはずして、50MHzコイルを28MHzのコイル位置(一番配線が短くて良い位置)に取り付けるため、全コイルの取付位置をずらした時に配線はズタズタに切断しましたので、この段階できちんと配線を仕直さなければなりません。




配線をすべて仕直しました。 面倒くさそうでしたが、やって見ると何と言う事ありませんでした。 
50MHzのコイル群はまだです。 




シャーシ上の配線を済ませました。 電源部の他、バンド別局発用クリスタル群を取付けました。 クリスタル・ソケットの取付ベースは懐かしいトリオTR-1000のジャンク品で、TR-1000をお持ちの方ならすぐにお分かりでしょう。 5個用ですが、両端の取り付けネジの部分に1個ずつ増設して7個用に改造しました。 
親受信機が3.5〜4MHzの500KHzカバーですので、28MHzと50MHzは水晶のみ2チャンネルとして、28.000〜29.000、50.000〜51.000をカバーします。 チャンネル切替(H/L)のスライド・スイッチをパネルに増設しました。 水晶はまだ3個が特注製造中です。

スタンバイ回路は最後まで悩みましたが、RF増幅回路のカソード回路を引き回すのは、例えパスコンでRFをバイパスしていてもロクな事がないだろうと言うことでやめました。 結局手持ちの12VのリレーでB回路を切断すると言う確実な方法をとる事にしましたが、電源がありません。 これまた悩みましたが、ふと思い立ちジャンクのACアダプター(DC12V500mA出力)をブチ割ったところ、見事に可愛いトランスと整流回路が出て来ましたので、これをシャーシ上に取り付けて解決となりました。




パネルに増設された28/50MHzの500KHz台のバンド(28.5〜29.0、50.5〜51.0)用にクリスタルを切替えるスライド・スイッチです。




シャーシ裏の配線も一通り無事終了しました。 ただし50MHzバンドのコイルが3つまだ空席となっています。(バンドスイッチの右側のスペース)
特に3本の真空管周りはこのスペースで大丈夫か?と心配していましたが、送信機・受信機などで散々鍛えられたせいか(笑)なんの苦労も無く配線が終了しました。
これから50MHzバンド用コイルを自作しなければなりません。




一晩かけて50MHzのコイル群を作製しました。  一番手前の列に並んでいます。 左からOSCコイル、RFコイル、アンテナコイルとなります。

OSCコイルは、ちょうど受信機(MAFRX-35A)を製作した時に不要となったトリオの受信機コイルセットの内のOSCコイルが、コア付でサイズも同じでしたのでコイルを巻きなおして利用しました。 
カットアンド・トライで50MHz用の2つのクリスタルの共振周波数を、コアーでカバー出来る巻数を得ました。

RFコイルとアンテナコイルは、TX-88DのACラインフィルター回路に使われていたRFCのボビンを利用して作製しました。 この2つのコイルは、バンド切替配線影響をモロに受けるのでカット・アンド・トライしか方法がなく、結局4回も巻きなおしては取付け測定しまた巻きなおすと言った作業を繰り返して適正巻数を得ました。 結局かなり少なめの4ターンとなりました。
取付後ディップ・メーターで両コイルの共振周波数を比較測定したところ、配線ストレー容量の差で両コイルの間に差が若干出ましたので、アンテナコイル側にセラミック・トリマーを付けて共振周波数を合わせました。 




これで製作は完了しました。 50MHzのコイル群の自作・取付がうまく行ったのでホッとしました。 ディップ・メーターで確認した限りではバンド切替の長い配線を克服してなんとか働きそうです。




早速3.5MHzバンドにしたFT-817に接続してみました。 おおおお、聴こえるではないか!バッチリと7メガのCWやSSB!、14、21、28とバンドを切替えてみましたが、FBに入感しています!
感度も申し分ありません。 これで親受信機(MAFRX-35A)も晴れてダブル・スーパーとしてオールバンド受信機として働ける事になった訳です。
50MHzは特注のクリスタルがまだ届いていないので動作確認はできませんが、まず問題なく働くと思います。 各コアーの調整を行いましたが、最後はあっけなく完成してしまいました。




特注していた28MHzのハイバンド用クリスタル1個と、50MHz用のクリスタル2個が届きました。 
当然の事ながら、既にHC-6Uサイズのケースは製造されていないので、特注もHC-49サイズになってしまいます。 ここはお揃いで当時の標準サイズであるHC-6Uにしたい所なので、ジャンクの不要のHC-6Uのケースをガス・バーナーであぶって接合部分の半田を溶かしケースを分解し、中身を出して、HC-49のリード線を切り詰めてソケットの端子に半田付けし、ケースに戻して接合部分に半田を流してHC-6U型に改造しました。
写真の上がHC-6Uの水晶板をリード線に接続された電極版がサンドイッチされてる様子。 下がHC-49を取り付けた端子部をケースに戻すところ。




これですべてのクリスタルが揃いました。 既にシャックに並んでいたクリコンを引き出してクリスタルを挿しました。 どうかな?とそのまま電源を入れましたら、コアーの調整もなしにそのままFBに50MHz帯が受信できます。 あっけなく・・・
うまく行きました。 VHFまで含めたバンド切替でちょっと不安でしたが、当局のレファレンス機であるIC-756PROVと比較しましたが、普通に同じように聴こえていました。



おおお〜〜! 気が付いて見たらこれで今回の一大プロジェクト(3.5〜50MHz・AM/CW・10W送受信機ライン)はすべて完成です! 終にすべて無事完成してしまいました!
思い起こせば、このプロジェクトを思いついたのが去る7月29日でしたから、それからわずか3ヶ月で全てを完成させた事になります。 我ながら良く頑張ったと思います。




これが最終的な回路図です。 詳細はこちらからPDFファイルをダウンロードしてご覧下さい。




検索エンジン等 から直接このページをヒットされた場合は Top PageよりアクセスするとMAFNETの全てのペ ージがご覧になれます