モービル通信

【このページの最終更新日:1993年6月28日】

1. VHF/UHF帯での運用

基本型は、特に説明を要しない位簡単です。  おまけに携帯電話の普及で、メリット感も薄れて来 てしまいました。 しかし、近距離連絡用としてハムの車には最低限の必需品である事に変わりはあ りません。

50MHz帯  ノイズは多いのですが、意外と通信距離が伸びるし、建物、地形等の障害物の影響も受 けにくく快適です。ただ運用している局数が少ないのが難点です

144MHz帯 50MHzと435MHzの良い点を兼ね備えた、地上波を利用したモービル運用には最適のバン ドです。 ただ帯域が狭いので地域によっては、かなり混信がひどく、使いにくいのが 難点です。

435MHz帯 ノイズが少なく、帯域も広い為、最近では最も人気があるバンドになっています。 レピーターも多く設置されており、144MHz帯と、この435MHz帯さえ用意しておけば、ど こに行っても相手がなくて困ると言う様な事はないでしょう。

1200MHz帯 ノイズが全く感じられず帯域も更に広いのですが、建物・地形等の障害物の影響を受け やすい事、雨等による減衰も目立って来る事から極めて扱いにくくなっています。 伴 走車との連絡、レピーター利用の通信等が主となって来ます。 入感する局数もかなり 少ないのが現状です。

当局は、以前より、144MHz・430MHz・1200MHzのトライバンド機をすべてのモービルに、何も考 えず「決定版」として設置しています。


2. HF帯での運用

なんと言っても、HF帯 モービルはハムの醍醐味を感じさせてくれます。携帯電話がこれだけ普及 しても、そうおいそれと国際通話をする事は、費用面から言ったって出来ません。 走る車の中から 海外とのんびり話できるのは、まさにハムの特権です。 当局も随分長い間HF帯モービルを楽しん でいます。 すべてのバンドでトライして来ましたが、今は14MHz帯を中心にQRVしています。


1.9MHz帯   せいぜい3m程度のホイップ・アンテナでは効率が悪過ぎて実用的とは言えません。 第一、PHONEモードが許されていないのでCWオンリーになってしまいます。

3.5/3.8MHz帯 アンテナの効率が極めて悪く、気合を入れて良いアンテナを作ったとしても実用性 は極めて低い物になってしまいます。 ただ国内QSOでしたらそれなりに楽しむ 事ができます。

7MHz帯 国内QSOにはもって来いのバンドです。 アンテナの効率はかなり低いにも拘らず 聞こえる局には結構飛んで行ってくれるの驚いてしまいますただ混信もひどく 長いQSOは困難です。

10MHz帯    CWオンリーですが、DXにも良く飛んで行きます。 走りながら、アフリカのペディ ション局のパイルに参加して、すぐにとってもらえて感激した事もあります。

14MHz帯    なんと言っても、国内・DX共ベストのバンドです。 走りながら一時間以上もラグ チュー(国内・DX局共)した事は何度でもあります。 どこか一つのバンドだ け、と言うなら迷わず14MHz帯です。

18MHz帯    太陽黒点さえ増えれば、14MHz帯同様に楽しめます。 

21MHz帯    太陽黒点さえ増えれば、14MHz帯以上にFBシグナルで楽しめます。 バンド幅も十分 あるし、相手もたくさんいるので、FBです。

24MHz帯 太陽黒点さえ増えれば、FBです。 国内・DX共オープンはスポット的になって来ま す。 バンド幅が狭いのて、相手がさほど多くないので万能ではありません。

28MHz帯 太陽黒点がしっかり増えて来ないと、使いづらいバンドです。バンド幅は一番広い し、コンディションがあがれば出てくる局は多くFBです。 一旦コンディション が開くと国内・DXを問わず強烈な信号強度でFBなQSOが可能です。 ただオープ ンはスポット的ですので、ラグチューはやりづらい事があります。  このバン ドはFMが許されているので、太陽黒点が極小期でも、FMで地上波を使ったローカ ルQSOを楽しむと言った使い方もできます。


3. HF帯モービル運用のシステム

(1) トランシーバー

現在では、車のDC電源(13.8V)で動く小型機はいくらでもありますから、困る事は何もないと思いま す。(昔は随分苦労しました)  パネル分離型の超小型機が人気ある様ですが、スペースさえ許せ ば小型のデスクトップ機の方が使いやすいです。 何かと騒音の多い環境で使いますから、良い音が 出てパワーをある程度ブチ込める大きめの外部スピーカーは必需品です。

(2) CW用のキー

CWをやる方は、もちろんエレキーが必要です。 慣れれば、走行中のキーイングも何でもありません。 セダンタイプの車では、キーの設置場所が問題となると思います。 当局は、昔からワゴン車ですの で、ハンドルの右前のダッシュボードの上(つまり、ダッシュボードの上の一番右のコーナー)に両 面テープでキーヤーを取り付けて置くと、普通の姿勢のまま丁度楽に手が届きます。

(3) マイク

オートマチック車であれば、ハンドマイクで問題ないのですが、マニュアルシフト車では、フレキシ ブル・アーム・タイプのマイクが必要です。 V/UHF帯のFMでのQSOでは、ギアのシフト時にマイクを 口から離しも、キャリア(信号)が出ているので相手は気にしないでしょうが、ノイズの多いHF帯で のSSBによるQSOでは、相手が、「おや? スタンバイしたのかな?」と思ってしまい、思わぬダブリ 送信を招いたりする事があります。

(4) アンテナ

何と言っても、HFモービルの最大のポイントは、アンテナです。 市販のアンテナよりか、自作をお 薦めします。 特に、性能を追求せずになんとか簡単にQRVしたいと言う場合は市販のアンテナでも 用は足りると思いますが。 ポイントは、自分の車と利用環境を考慮して許せる範囲で最大のアンテ ナを作ると言う事に尽きます。 本来大きなHF帯のアンテナを縮小して(すなわち効率を落として) 使うのが前提なのですから、とにかく許される範囲内で縮小度を少しでも少なくする事が大事と言う 訳です。

ベースは、やわなバンパー基台よりか、牽引フック等に取り付ける鉄鋳物製の基台がFBです。これに 自分の車や、利用環境で許される限りの長さのエレメントを取り付けます。 あとは方法は2つに分 かれます。


  マルチバンドに気軽に出たい

オールバンド・オートマチック・アンテナ・チューナーを利用する。 基本的にすべてのバンドに 同調がとれ、QRVできます。 個々の周波数での性能は次の(2)ににはかないませんが、十分実用に なります。(特に14MHz帯以上) 市販のアンテナや、自作のアンテナでも、いちいち車を降りて バンドスイッチを切替えたり、コイルやエレメントを交換する方式は、極めて使いづらく、お薦め しません。


  一つのバンドに絞って、ベストの環境で出たい

 A. エレメント上のできる限り高い位置に
 B. できるだけ大きな(Qの高い)ローディング・コイルを挿入する

の2点に尽きます。 尚、給電部にはマッチング用のトロイダルコア・トランスか小型のアンテナ ・チューナー(ジャンクで十分。昔の製品が「新品」でも1万円程度で売られてる)をつけて 100%マッチングを取るとFBです。

短縮率の大きくなるローバンドでは、良い結果を得る為にはこの方法が必須です。 実際 3.5MHz 帯で活躍されている皆さんのアンテナには、上記A, Bの2点について、目を見張る様な工夫をされ ている局がたくさんおられます。


当局のアンテナ・システム

当局の場合は、今まで数えきれない位、色々なアンテナを試して来ましたが、結局落ち着いた所は (2)の方法で14MHz帯のアンテナを作り、それに(1)で述べたオールバンド・オートマチック・アン テナ・チューナーを取り付けたシステムです。 この方法ですと、14MHz(常用バンドとして使って います)でのベストの性能を確保した上で、他のバンドにもひと通りQRVが可能です。

下の写真は、最も最近のモービル・アンテナ・システムの状態で、マニュアルのアンテナチューナ ーを使っています。 ほとんど14MHzにしかQRVしないのと、マニュアルの方が完全にチューニング が取れる事、車上の他の電子機器へのRF回り込みが大きく改善される事などからそうしています。 現在のこのシステムが一番FBに飛んで行ってくれています。



ハムフェアで購入したアクリルケースの中に、ジャンク箱にあった昔のエアダックス・コイルを挿入。 エレメント類は過去集めてきた色々な部材の中からネジ・ピッチを合うように組み合わせて使用。 緑色の紐はナイロン製で、アンテナを引っ掛けた時のことや走行時の思わぬ事故を防ぐ為に前方から 軽く引っ張っています。



ベースは牽引フックに取り付けたスプリング基台用。 頑丈で、エレメント長も長くとれ、これに 限ります。 ベースとエレメントの接合は、M型コネクタです。 取り外しがしやすいのでボルト式 より重宝しています。



エレメント長さは正確に測っていませんが3m超あります。(コイルまでは厚肉アルミパイプ、上は ステンレス製エレメント。)



ホイップ・アンテナは、特に短縮されている場合給電点のインピ−ダンスはまず同軸のそれと一致 はしないので、できればアンテナ給電点にマッチング・ボックスを取りつけたい所ですが、車の中 の同軸ケーブルの引き回しはわずかな長さなので、昔のマニュアル・アンテナ・チューナー (KENWOOD AT-130)を適当な所に挿入するので充分です。このチューナーでバンド中央に同調(一度 同調をとっておけば、後は二度と触る必要はありません)しておく事により、14.100MHz〜 14.300MHz は、SWR=1.3 に収まっています。14.150MHz〜14.250MHzはほぼ SWR=1.0となって います。(共振点でのアンテナ自身の裸のSWRは、1.5程度あります)



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