自宅シャックのモバイル遠隔操作化プロジェクト

■ STEP 4 ■

【このページの最終更新日:2009年5月30日】

STEP 4.モバイル環境から操作をする

さて、いよいよモバイル環境からのアクセスにチャレンジです。 要は既に出来ている事を、自宅LANの外とやりとりできればそのまま実現できる訳です。
ここで難関が2つあります。 ひとつは固定IPアドレス(又はそれに変わるもの)の取得です。 そしてもうひとつはルーターのポート開放と、Windowsのファイアウォール(セキュリティ)のポート開放です。 これが実は一番わかりにくく苦労した所でした。 やってみれば何でもないんですが、最初は概念が良くわからないし、何度も万歳をしました(笑)

(1)IPアドレスの「固定化」

固定IPアドレスとはインターネット上の絶対アドレスです。 インターネット上の全てのアクセス対象には必ずIPアドレスが振られています。 普段はDHCPサーバーと言うインターネット上のサーバーが入力されたURL(http://www.mafnet.jp/roman.index.htm など)を「240.125.23.11」などの数字で表現されるIPアドレスに変換してアクセスしてくれるので、我々は意識する事はありませんが、厳に存在し、それを持ってインタネットの通信は確立されています。

そこで、我々のインターネットに接続されたPCなのですが、残念な事に普通の契約では固定されてIPアドレスは持たされていません。 接続しているプロバイダーが手持ちのIPアドレスを時間毎に適宜割り振っているからです。(固定IPアドレスの契約もできますが、接続料がかなり高くなります) つまりプロバイダー内にもDHCPサーバーがあってIPアドレスを動的に管理していると言うわけです。

一方我々のPCの接続されている家庭内LANのルーター内でも同じことが行われています。 ルーターは、自身のDHCPサーバー機能を使って自分のLAN上のPC毎に適宜IPアドレスを振ってくれています。但しこれはルーター内だけに有効で、外部との通信には関係ありません。これをローカルIPアドレスと言います。(上のSTEP 3.で登場したヤツです)

家庭内LAN上のPCから外部に行くときは、行く先のIPアドレスが必要となりますが、これは既に述べた様に、インターネット上のDHCPサーバーがURLから読み替えてIPアドレスを割り出して接続してくれるので何も問題はありません。 ところがその家庭内LAN上(に限らず、自宅のインターネットに接続された)のPCに外部からアクセスしようとすると、インターネット上で共通に認識される(すなわちインターネット上のDHCPサーバーに登録されている)固定IPアドレスがなければ、接続のしようがない訳です。

そこで登場するのが「Dynamic DNSサービス」です。 これはある機関に登録し、その機関に自動的に定期的にアクセスするだけで、その際のこちら側のIPアドレス(固定ではないので時間が経つと変わってしまう)を認識し、登録したURL(jr1maf.mydns.jpなど)のIPアドレスとしてインターネット上のDHCPサーバーを書き換えてくれると言うサービスです。 なんとこれをフリーでやってくれている所もあります。

私はこちらを利用しました: http://www.mydns.jp/

詳細は上記サイトをご参照下さい。 URLを登録した後は、接続したいPC(この場合はリグを接続したシャックのPCですね)上で、常にメール・ソフトであるOUTLOOKに適当なメールアドレスを登録し、指定された接続先を設定したあとで、一定時間ごとにメールが来ていないか自動受信するように設定しておきます。 あとは常にOUTLOOKを立ち上げて走らせておく(最小化しておけばOK)だけです。 一定時間にメールを見に行く時のアクセスで先方は当方のその時のIPアドレスをキャッチできますので、それでDHCPサーバーを書き直してくれると言う訳です。 

これで固定IPアドレスを取得したのと同等の効果が得られる訳です。 要は数字のIPアドレスでは特定できないけど、URL(ドメイン名)で固定的に指定できると言う訳です。

これで第一関門突破です。 次がいよいよルーターとWindowsのポート開放です。


(2)ルーターのポート開放

さて、いよいよ山場を迎えました。 私は自己流でああでもないこうでもないと弄繰り回したので相当な回り道をしました。

まずルーターですが、前述のようにルーターは性悪説に経って、すべてのアクセスは不正であるとの立場で設計されています。 基本的にインターネットとの間に立ち塞がり、通信をさせてくれないのです。 唯一「これだけは通して良い」と設定したものだけを通す関所みたいなモンです。 その関所たるものがポートで、数多くのポートには番号が振られており、その番号を通す設定(これを開放と言う)をしてやらなければならないのです。 但しWebやメールなどのやりとりは、基本的な通信であるので、それらが使うポート80は、どのルーターもデフォルトで開放されています。

さて、Ham Radio Deluxe が使うポートは、同アプリケーションのデフォルトで7805番となっています。 まずこのポートの開放を行います。


まずルーターの設定画面にアクセスします。 アクセス方法は各ルーターの説明書に書いてありますが、ほとんどのルーターはブラウザを起動し、URL欄に「192.168.1.1」と言うローカルIPアドレスを入力する事によってアクセスできるのではないかと思います。 パスワードを入れます。(パスワードはルーターの説明書をご参照ください)


WebCasterV110(NTT東日本Bフィレッツの標準レンタル品)のルーターの設定画面が開きますので、「ルーターの設定」を選びます。


「NAPTの設定」が設定すべき項目です。 この辺りは使用しているルーターやメーカーによって使われている専門用語も呼び名も全く異なっています。(これがこう言った設定を一層難しくしています) 当局の最大のアドヴァイスは、迷わずメーカーのカスタマーセンターに電話して、「ルーターのポート開放は何処をいじれば良いか教えて下さい」と尋ねることです。 自己流は、泥沼への第一歩となるかもです。

プロトコルは「TCP」を選んだらうまく行きました。 IPアドレスにはリグを接続したPCのローカルIPアドレスを入れます。(ルーターに認識させる為なのでローカルIPアドレスで良いのです) 「ポート7805〜7805 を 7805 に通す」と言う記述にし、追加→送信→反映 をクリックするとルーターはリセットされ数十秒後に新しい設定で立ち上がります。 これでルーターの設定は終わりです。 たったこれだけなんですけどね・・・最初は余分な所を弄ってしまったりでここに辿り着けなくって・・・(笑)


(3)Windowsファイアウォールのポート開放



コントロールパネルからネットワーク接続を選び


ローカルエリア接続を右クリックしてプロパティを開きます


詳細設定のタブを選び、Windowsファイアウォールの設定を選びます


ファイアウォールが有効にチェックが入っているのを確認し、例外のタブを選びます


そこでポートの追加を選び、ソフト名、ポート番号7805、プロトコルTCPを選択します。

これですべて完了です。 ここが一番難関なとこでしたが、今こうやって振り返ればなんでもない簡単な作業です。ここを具体的にわかりやすく解説している 文献やサイトに出会っていればそんな事はなかったんでしょうけどね。


さて、これでいよいよ接続テストです!! オーディオの受け渡しをさせるSKYPEと言うソフトは大変良くできていて、Webブラウザ等と同じポート80を使用しているのでそのまま使うことができます。

ASUSのPCでEMOBILEのデータ通信カード(USB差込式)でまずはインターネットに接続します。 EMOBILEは下りが最大7Mbpsと言う、ADSL並の高速通信が可能なモバイル通信カードで、当局は2009年3月に購入以降、その凄さに感動の連続です。(走行中の車の中からEchoLinkサーバーにアクセスして、世界中のノードにアクセスして「DX-QSO」が安定してできます。 もうモービルにアンテナとリグは要らない???)

まずはSKYPEを立ち上げ、シャックのPC側のアドレスに発信します。 自動応答に設定しているので、接続と同時に・・・どうです? 私は通常14.230MHzにセットしてSSTV画像をタヌキワッチしているので、突然SSTVのピヨピヨ音が快適に聴こえて来ました。 感動の一瞬です。

次に Ham Radio Deluxe を立ち上げます。 立ち上げ後の操作は、LAN上の他のPCからアクセスした時と同じです。 で〜〜ん、FT-817のコンソール画面が出てきました! いやぁこれまた感激! 周波数をマウスとカーソルキーでUP/DOWNさせ、ワッチ開始。 おおお、聴こえる聴こえる・・・・



当局は14.130MHz近辺でファイナルを送っていたJA6局を発見、QSOが終わったところでいきなりコールを試みました。 TXボタンをクリックすれば送信、もう一度クリックすれば受信です。 なんと、コールバックがありました。 しかも「いやぁ強力に来てますよ。59+です。」と。 こちらがリモート運用であることを伝えるとびっくりされてました。 「いくら聴いても、普通の固定局と変わらんですよ。音もいいしねぇ・・・」と。 これが当局のモバイル遠隔操作運用の第一号となりました。
この翌日には、夜ローカルの車の助手席でワッチを開始、走行中の車からPC内蔵のマイクに向かって(QSOするつもりではなかったんでヘッドセットは付けておらず)CQを出していたVR2XMT、Charlieさんをコール。 これは正直言って運転していたローカル局への単なる冗談だったんですが・・・・これまたコールバックが! 短いQSOではありましたが、最後までリモート運用である事には気づかれませんでした。

夢であったモバイル遠隔操作によるQRV! とにもかくにも第一歩は大成功です! このままの状態でも、このモバイルセットを持って行けば、世界中何処に旅しても自宅シャックから無線ができます。(海外ではホテルの無線LANとか有線LANで接続ですね)



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