サトウキビ生産がもたらすフィジーの風物詩

== 島中張り巡らされた運搬列車の線路網と、過剰積載のポンコツ・トラック ==

【このページの最終更新日:2013年10月25日】


フィジーは観光立国で、いわゆる産業らしい産業はあまりないのですが、その中で唯一際立っているのが、サトウキビ(Sugar cane)の生産です。
島中どこにいってもサトウキビ畑がないところはありません。 島中全部がサトウキビ畑と言って良いくらい育っています。 焼畑方式で、刈り取りの跡野焼きをすれば、あとは特に手入れをしなくてもグングン育ってくれるようです。

島中で採れたサトウキビは、ビチレブ島ではラウトカもしくはラキラキにある各精糖工場に運ばれ、ここで砂糖となり、主にヨーロッパ諸国に向けて輸出されています。(歴史的には植民地支配していたイギリスが産業を育成し輸入も独占していました)

島中に広がったサトウキビをラウトカもしくはラキラキの工場まで運搬する為の手段は2通りあります。 ひとつは専用鉄道、もうひとつはトラックです。
このいずれの手段も、サトウキビの収穫期(主に7月~10月)に独特の風物詩を生み出しています。  フィジーならではの光景を見る事ができます。





島中どこを走ってもサトウキビ畑が広がります。




Sabetoのサトウキビ農家。 手前のフィールドは既に刈り取られた跡です。
この風景写真を撮影していたら、家から青年が出てきてサトウキビの話を色々教えてくれました。




サトウキビをかじった事がないと言うと、青年はさっそくサトウキビを一本獲って来て、剥いてくれました。
彼の家では時々朝食がこのサトウキビ一本って事があるそうです。




甘いのにびっくり! 噛むと砂糖そのもの! サトウキビは竹の様な固い繊維質ですが、噛むと砂糖のジャリ!と言う感触とともに超甘いジュースが口に拡がります。
これなら砂糖が精製出来るわけだ!と食べてみて思いました。
ちなみに1トンのサトウキビから、その半分の0.5トンもの砂糖が採れると言うから驚きです。





さてこのサトウキビ、収穫後どうやって運ばれるのでしょうか?
これがフィジーの風物詩を産んでいます。





島の平野部を網の目の様に張り巡らされた運搬専用鉄道網があります。
但し、収穫期である7月~10月以外は全く使用されないので、一年の大半は雑草や泥に埋もれて、またここを列車が走れるとはとても信じられない状態になってしまいます。
ここはまだ状態が全然いい方です。 場所によっては泥に埋もれて草がその上に生えて、レールが全く見えなくなっている所もたくさんあります。
レールの幅は、まるで遊園地の電車みたいに狭いです。




ところどころにサトウキビを積むための貨車(と言ってもただの台車みたいなトロッコです)が放置されたままになっています。




いよいよ収穫期なるとこの通り!
ジーゼル機関車に引かれて、最大100両を超える編成の貨車が走ります。
スピードは遅く、人の歩く速さとあまり変わりません。 






この列車はゆうに100両を超えていました。




島の中をサトウキビ畑に向かって縦横無尽に支線が分かれていますので、ポイントがたくさんあります。 
もちろん手動だし、それに伴う信号機もありませんので、超低速で運行しながらすべて視認で対応しながら走って行きます。






この鉄道網は、至る所で幹線道路や脇道を交差します。 信号機も踏切もありませんので、かなり手前から恐ろしく大きな音の警笛を鳴らしっぱなしで突っ込んで行きます。
夜間などは街路灯もないし辺りに民家の灯りすらない真っ暗な所で、100両を超す見にくいサトキビを載せた台車がゆっくりとしかも堂々と横断しているのは、まさ車をに運転していると恐怖です。
ぶつかったら止まらなかった車が悪い、と言う事で、島の基幹産業であるサトウキビ生産がなによりも優先されていると言ったところです。




ここは島の内陸部に入ったところですが、川を渡るこの木製の橋は列車と共用!です。




レールはまったくいい加減な作りで、まっすぐになっているものはありません。
ぐにゃぐにゃ曲がっていて、本当に脱線しないで走れるのだろうかと心配してしまう程です。




ここはビチレブ島に二か所ある精糖工場のうち、最大のラウトカの工場です。 島の南部で収穫されたサトウキビは全てこの工場に持ち込まれます。 
網の目の様に張り巡らされたれた貨車の線路網の終着駅がここです。




それにしても恐ろしく歪んだ線路が....ちょっと信じられないですね。




最後の線路は工場内にそのまま引き込まれています。




さて、もうひとつの運搬手段であり、風物詩のが、トラックによる輸送です。
超ポンコツの大型トラックが、横幅を大幅にはみ出してサトウキビを積んでラウトカ(北部の極一部はラキラキ)の工場に向かって超のろのろスピードで走ります
収穫期には無数のトラックが走っており、追い越しても追い越してもその先でまたのろのろトラックに追い付きます。




黒煙を吐きだしてのろのろ運転で運ばれる(トラックがポンコツなので、頑張っても速度が出ないのです)サトウキビ運搬トラックは、収穫時期の車交通の最大のガンですが、何しろこの国はサトウキビ生産が最優先です。




ちょっとした上り坂だと人の歩く速さより遅く走っている(動いている?)トラックもあります。






40年、50年前の中古トラックが活躍しています。




ラウトカの精糖工場に集まったトラックです。 荷降ろしの順番を待っている所です。






このビチレブ島のラウトカ(およびラキラキ)工場の他、2番目に大きいバヌアレブ島のランバサにも大きな工場がありますが、フィジーの輸出産品で最大の額を産み出しています。




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