冷却CCD(SBIG ST-7)のノウ・ハウ

【このページの最終更新日:2001年8月28日】


1.AC電源の製作

SBIG社の冷却CCD、ST-7をお使いになっている方は多いと思いますが、このシリーズにはAC電源(家 庭のAC100V入力)とDC電源(バッテリーのDC12V入力)が用意されていますが、購入時期によって付 属している電源はどちらか片方になっている為、両方共持ってらっしゃる方は少ないのではと思いま す。 DC電源は遠征時にはいいのですが、自宅の観測室などで使用するにはわざわざDC電源を用意す る必要があるので、かえって不便なばかりか、出力電圧を調整できる安定化電源を使用してDC12Vに 合わせておかないと、自動車の電圧の13.8Vに固定設定されている電源を使っていると、永い間に SBIGのDC電源が破壊されるケースが多見されています。(あくまでも設計入力電圧はDC12Vで、マー ジンは少ないようです)

そこで、ほとんど「ただ」でAC電源を製作する方法をご案内しましょう。 ちまたに溢れる、不要になったパソコンを利用します! パソコンの中にある電源部を取り出して 改造するのです。 パソコンもCCDカメラももともと同じ論理回路主体ですから、電源だって本来同 じな訳です。


まずパソコンのケースを開けて電源ユニットととりはずします。 難しいことはありません、プラス ネジのドライバー一本だけで分解できるはずです。




電源部のケースに電圧と電流の表示があるはずです。+5V -5V +12V -12V と書いてあると思いま す。 ST-7が必要としている電圧と電流は次の通りです。
1.+ 5V 2.0A
2.-12V 0.1A
3.+12V 0.5A




電流容量が問題となるのですが、多少オーバーしても問題ありませんので、普通のパソコンであれば 無条件に動くと思って下さい。




パソコンの前面の電源スイッチから直接配線が電源部につながっているタイプのものを選んで下さい。 良くあるのは、パソコンの前面の電源スイッチからマザーボードに配線がつながっていて、電源の ON-OFFをマザーボード経由制御しているもので、これは改造がちょっとやっかいになりますから避け た方が無難です。




まずは、なにはともあれ、電源部の蓋をあけます。




たくさんのカラフルな配線が出ていますが、気後れはしないで下さい。(笑) ほとんどは同じ接続 の線が何本かセットになって束ねて出てきているだけで、本質的には
1.COMMON(電源のアース)
2.+5V
3.-5V
4.+12V
5.-12V
の5種類だけです。

まずは、バッサリ切り落としましょう。




各色の配線が出ている基板の個所を良くみると、ほとんどの場合、親切に上記いずれかの電圧表示が 印刷してあると思います。




同じ個所から数本でていると思いますが、




一本だけ残して後はばっさり根元から切り落としてしまいます。




次に被服を剥いて電圧をチェックできるようにします。 電源部にパソコンの電源ケーブルを差し込んで、電源部から出ているスイッチ(普通は繰り返し押す とON-OFFを繰り返すタイプだと思います)を操作して電源をONにします。 これで内蔵のファンが回り始めれば、電源は立ち上がっていますが、まれにファンが回らない場合が あります。 これは出力側になにもつながっていない(無負荷)為に起こる現象ですので、その場合 はとりあえずテスター(DC電圧の数十ボルトのレンジにしておく)を黒リードを電源部の黒い線、赤 リードを赤い線にあてた状態で、電源スイッチを入れます。テスターの内部抵抗がわずかな負荷とな って電源部は無事に立ち上がるはずです。(立ち上がってしまえば、テスターをはずしても電源は止 まりません。)




テスターの黒リード線に電源部の黒い線を少し永めに被服を剥いて巻きつけておきます。そしてテス ターの赤リードで次々に電源部から出ている各色の配線にあてて電圧と極性をチェックします。 パソコンの電源は意外といい加減で、ケースに書いてある電圧から平気で+−10%くらいの誤差が ありますが、この程度の誤差では機器にダメージを与える事はないので気にしません。(笑)

ST-7までのケーブル用に多芯ケーブルを用意します(最低5芯必要です)  秋葉原などで簡単に手に入ります。あまり細いものは電流容量がなく電圧降下を招くので、適当な 太さのものを用意します。




配線を揃えて被服を剥いて、はんだ付けで接続しますが、熱収縮チューブをあらかじめ2cm位に切っ て通して置きます。 




はんだ付け後、ずらしてはんだ付け部を覆ってからライターあぶると、




あっと言う間にピッタリと収縮して絶縁してくれます。(ない場合はビニールテープを巻いて代用し ます)この熱収縮チューブも秋葉原の配線材屋さんで、簡単に手に入ります。




最大の難関(?)はこれからです。 ST-7側のコネクターの取り付けです。 「DINプラグのオスの5ピン」を用意します。(これも秋葉原ですね!)




写真(後掲)を良く見て、接続を間違えないように、そして相互に接触しないように細心の注意を払 ってはんだ付けします。 はんだ付けする前に、分解したコネクターの本体(と言うか黒いプラスチ ックの部分)をケーブルに通しておくのをお忘れなく。(後で大泣きするはめになります)




配線のうち一本は金具の根元にはんだ付けしなければなりません。(信号のアース)


ここでケーブルの配線を整理してみます

1.信号のアース 電源部のケース → コネクターの金具の根元




2.電源のアース 電源部のCOMMON → コネクターの写真のピン
3.-12V 電源部の-12V → コネクターの写真のピン
4.+12V 電源部の+12V → コネクターの写真のピン
5.+5V 電源部の+5V → コネクターの写真のピン





この配線ができたら、もう完成したも同然です。


せっかくだから、電源部からスイッチがブラブラしているのはいかにも格好が悪いし、操作性も良く ありませんので、電源スイッチをケースに取り付けてしまいます。 スイッチはなんでもいいのですが、小さなスナップスイッチが(これも秋葉原)ドリルで開ける穴も 小さくて工作が楽です。




電源スイッチの配線は、機器によって多少違いますが、ここまで作業できた方なら、じっと眺めてれ ばわかると思います。 要はコンセントから入力されたAC100Vのうち、片方だけを切ったり繋いだり すればいいのですから。




要所要所をバインド線などで縛って固定します。 こうして、遂に立派な電源が完成です。




完成したら慌てないで、コネクターのピンにテスターをあてて、配線が間違いないこと、極性電圧が 正しく出ていることを確認します。 ピンの間隔が狭いのでショートしないように気をつけて、慎重 にチェックします。 あやまってショートするとファンが止まって電源がダウンしますが、ほとんど の場合保護回路が働いてそうなっているので、再び電源スイッチをOFF-ONするとファンが回って電源 が回復します。(中にあるヒューズが飛んだり、電源部が破壊されることはまれです) 電圧と極性の確認はあくまでもCOMMONのピンにテスターの黒リードをあてて赤リードを各ピンにあて て測定します。 この作業は納得の行くまで確実に行います。もし間違えたままだと・・・・ST-7は一発で死にます!






さぁ、いかがですか? 私は電気工作は慣れているので、この解説の写真を撮りながら2時間ほどで 完成しましたが、日頃あまり半田ごてを握った事のない方も、週末にじっくり製作されたらいいと 思います。 色々部品とか配線材をお持ちの方だったら、ほとんどただでST-7のAC電源が完成したと思います。 私はこれと同様に作った電源を2年以上使っていますが快調に問題なく観測室の中で動作しています。




初めてチャレンジする方の為のQ&A

(実際に寄せられたご質問を元にまとめました)



Q:電源5ボルトの方はいいのですが、プラス12Vであるべきところ11.5V、マイナス12V であるべきところが、マイナス10.5Vしかありません。 電源を買いなおしたほうがいいですか?

A:電圧ですが、記事にも書きましたとおり、パソコンの電源って結構いい加減なんです。10%程 度の誤差はあたりまえなんです。ちなみに、私が製作した電源ですが電圧は以下のとおりです。

+12V → +10.69V −12V → −10.72V +5V → +5.45V −5V → −5.05V

これで実際どうかと言うと、ST−7は問題なく動いています。(笑) 特に電圧が低めにずれ ているという事は、悪くてもダメージを与えることはないという事ですから、心配はさらさら必 要ありません。 特にデジタル回路は5Vで駆動されていますし・・・5V側の誤差についても もともとデジタル回路は電圧には厳密でない事が多い。 12Vはアナログ回路とかファンとか に使われているんだと思いますが、アナログ回路とて電力回路でパワーを要するものでなけれは 影響はありませんし、ファンに至ってはなおさらですね。 と、言うわけで安心して作業を進め てください。

Q:一つ分からない事が出てきました。信号のアースと電源のアースです。 電源のアースは根元か らばっさり切った黒線(テスターの黒をつけて測定した線)ですよね...信号のアースとは電 源のオンオフスイッチのマイナスと思われるところにつなげばよいのでしょうか?

A:>電源のアースは根元からばっさり切った黒線(テスターの黒をつけて測定した線)ですよね >> そうです

>信号のアースとは電源のオンオフスイッチのマイナスと思われるところにつなげばよいので しょうか >> 信号のアースの線は電源の金属ケースにつないで下さい。(基板から配線などでケース につないでいるポイントがあると思いますが、なかったら、ケースについている適当な ネジを利用して、接続して下さい。


Q:5芯のコネクター、どうもハンダの”のり”が良くないのです。 ぱらっとハンダが取れてし まいます...

A:半田付けは、まさにコツの世界なんです。半田付けで一番大事なことは・・・・

1.コテの温度が高過ぎず低すぎず・・・・・15分も通電しっぱなしにしておくと、加熱し すぎてコテ先が酸化してしまいます。濡れ雑巾を用意して横において置くといいです。 時々コテ先をゴシ!ゴシ!とこすりつけて(濡れてるからジュッ!!と湯気もあがる)き れいにすると同時に表面温度をちょっと下げてやるといいです。

2.半田付けする金属はきれいに磨いてあること。(ただし、新品の電気部品などはそのまま でOK)・・・だから新品のコネクターであればこれはOK

3.実はこれからが一番のポイントですが・・・・金属部分は余熱してから半田をつけるとい う事です。 まずコテ先をコネクタのピンにちょっとだけ強めに押し当てて下さい。 1、2と数えたらサッと離して(長過ぎると、絶縁のプラスチックとかが溶けちゃう)、 すばやく半田を当てながらコテをチョン!と当ててまだ熱いそのピンに半田をとかせてメ ッキさせて下さい。 これを俗に「半田あげ」と言います。 余熱した部品にあらかじめ 半田メッキする(半田あげする)・・・これが一番大事なコツです。

4.次に配線材の銅線にも半田あげしてください。 銅線はよほど太くなければ、ほとんど余 熱はいらないと思いますが、それでも1秒くらいこてをあててからの方がきれいに半田が 流れて乗ります。 ぱらっとはがれるのは、コテ先でせっかく溶けた半田が、冷たい金属部分に触れて(しか も比熱が高いと言うか熱が逃げる余地のある大きな金属だと余計に)急激に温度が下がる ため、瞬間的に再び固まってしまうから、そうなるんです。

5.ここまでのところで、配線材とピンと両方に半田がメッキしたかのように(もちろん厚み がありますが)乗ったわけですが、この状態で初めて配線材をピンに当てながら半田ゴテ を軽く(軽くですよ!)あてて下さい。 いとも簡単に、ささ〜〜っと半田が溶けて二つ の半田メッキがひとつに融合して結合します。

(注)この作業に使う半田ごてですが、30W以下の小さいコテを使って下さい。



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