【このページの最終更新日:1999年1月28日】
1.しし座流星群の正体
彗星は惑星と違って塵や氷の塊で、何度もその軌道を周回している内に、軌道上に細かい塵を
撒き散らして行き、やがて彗星から離れていても、その周回軌道上には彗星からばら撒かれた塵
が何時も群れを成して浮遊する様になります。この様な彗星は太陽系には無数にあるのですが、
この内、いくつかの彗星は、たまたま地球の周回(公転)軌道と交わる様な軌道を持っています。
しし座流星群(雨)の正体は、33年の周期で太陽の周りを回るテンペル・タットル彗星です。
1988年のケースは1998年2月に彗星が最も太陽に近づいた直後で、11月18日に地球が軌道を交差
させる時には、彗星が通過したばかりの最も塵が濃い部分に突入する事になる為、例年を上回る
活発な活動(流星雨)が期待されています。(毎年軌道は交差し、流星群は観測されますが、33年
毎にテンペル・タットル彗星自体が飛来し軌道上の塵が特に多い年は流星雨となるのです)
ところで、しし座流星群と名前が付いているのは、毎年テンペル・タットル彗星との軌道の交差
点に地球が来たときに、彗星の軌道方向の向こう側(背景)にしし座があるので、あたかもしし座
から流星が飛んで来る様に見える為で、決してしし座から流星が飛んで来る訳ではありません。
最も古い記録は西暦902年(アラビヤ)、967年(日本)。科学的記録が残っているのは1799年から。
1799年11月12日の記録は探検家で有名なフンボルトがベネズエラで遭遇したときの記述で、
「明るい流星が全天を覆い、月の直径の3倍以上の流星のないスペースは空に無かった」と記して
います。
1833年11月12日はアメリカで流星雨が見られた。エールズ大学のオルムステッド教授は「火球が
驚くほど出現し、、火花状の連続放射で、寝ていた人を目覚めっせるほどの美しさだった」と記
しています。また、この流星雨を目撃した農夫たち800人が「大地が焼ける!」と叫び、大地にひ
れふして祈りを捧げた話は有名で、版画絵にもなっています。
流星となって地球の大気圏を落下している時の速度は時速10万Kmで、ジャンボ旅客機の100倍の
速度に達します。
流星が発光している時の高度は、およそ50Kmから100Km上空で、ジャンボ旅客機の飛行する高度
10Kmよりは高く、スペースシャトルや人工衛星の飛行する500Kmよりは遥かに低い領域になります
(中には火球となって燃えながら地上近くまで降って来るものや、隕石として燃え尽きずに地上ま
で到達するものもあります)
流星の個数は最低でも1時間に50個から200個、もしかしたら1,000個以上(3秒毎に1個!)と予想
されています。
1966年の流星雨のケースでは毎分1、000個を超えた時間帯は40分程度でした。従って極大をうま
く捉えることが重要になってきます。一番可能性が高いのは地球がテンペル・タットル彗星の軌
道面と交差する(太陽黄経235.258度)時刻で、日本時間で11月18日午前4時30分ごろとなります。
ほぼ真東の空60度(天頂が90度です) の高さが輻射点となり、そこを中心の放射状に東半分の空
に広がって見られるもとの思われます。
日本の簿明は5時30分ころですので、もし不幸にも後ろにずれ込む様事態となると極大を見逃し
てしまう可能性がないとは言えません。この時間帯に夜で、高度も充分とれて観測できるのは、
世界的に見て中国東北部となりますが、欧米では捕らえることがまったくできませんので、今回
の日本は最高の条件に恵まれていると言えます。(月もほぼ新月で、月明かりに邪魔もされませ
ん)
明るさは一部は2等星を超える(明るい都会の空でも見える)ものがありますが、4等星以下の比
較的暗い星まで見える郊外の空では飛躍的に見える数が増えます。(都会の10倍以上)
モータードライブ赤道儀(天の動きに合わせてCPUとモーターで追従する三脚に乗せる架台)にカ
メラを載せて撮影できれば一番良いのは言うまでもありませんが、なくても十分楽しめる写真が
撮れます。
三脚にカメラ(レリーズを付けてバルブ撮影/レリーズでシャッターを押している間だけ露光で
きるものが必要です)を固定し、東の空60度の高さに向けて撮影します。
レンズはできるだけ明るい(F値が小さいもの)もので、かつ広角(f値が小さいもの)が望まれ
ます。(例:F=1.0 f=24mm)
フィルムはできるだけ高感度なものを選択します(ASA400以上)が、空が明るい場合は、露光時間
が制限されますので注意します。
寒くてレンズが結露する(曇る)場合は、レンズの周りを「ホッカイロ」等で包んで暖めてやると
大丈夫ですので、一応用意しておきましょう。(輪ゴムやガムテープ、紐などで縛りつける)
露光時間は45秒以内に収めれば、星(流星でない星座の星)があまり線状に流れないで写りますが
それだけ流星に遭遇するチャンスも減ります。 空が暗い所では、星座が線状に流れる事を割り
切れば5分程度露出すると良いかと思います。(空が明るい所で数分間以上露出すると、カブリと
呼ばれる、空が白く飛んでしまって星像が消されてしまう現象が起きます)
火球と呼ばれる大きな火の玉に遭遇したときや、流星痕と呼ばれる流星が飛んだ後に明るい雲が
残っているもの等に遭遇した時は、10秒程度の露出で次々に撮影します。
待ちに待った11月18日、幸運にも日本列島で最良の天気に恵まれた、関東地方の埼玉県名栗村奥
の山中(標高1,000m)で観測に挑みました。(MAF-NETに良く書き込みをされるMinolさんと神山さ
んと同行しました)
観測時間は18日01:30AMから05:30AMの4時間でしたが、期待された大出現はなく、ピークで一時
間当たり50個程度に留まりました。 しかし見ごたえのある明るい流星が多く、流星痕を伴うもの
も観る事ができました。
特に04:13AMに出現した流星痕は10分以上に渡って残り、これだけでもわざわざ観に来た甲斐が
あると言うべきものでした。
写真撮影は輻射点を離れたところでの大型流星の出現が多く、ほんの一部しか捉える事が出来ま
せんでした。 特に04:13AM出現の流星痕を伴った流星を逃した事は本当に悔やまれます!
下の写真はそんな中でかろうじて撮影できた輻射点付近での流星(2個)で、いずれも美しい黄緑
色でした。
今回はアジアが最高の条件で大出現を観望できるとの予測でしたが、実は予測時間(11月18日
04:30AM)より20時間も前に大出現していたのです。 11月17日の午前中であり、観ることは誰
にも出来なかったのです。 そのお陰で思わぬ幸運を喫したのがヨーロッパでした。 今回は
大出現はアジアで、とあきらめていたのに、ピークが前倒しになったおかげで、一時間で3,000
個近い流星雨が観測されました。