天文と私

【このページの最終更新日:1999年4月18日】

私が天文に興味を持ったのは実に小学校5年生の時でした。 父がおみやげに買ってきてくれた3センチ口径のガリレオ式 三段伸縮地上屈折望遠鏡を手にしたのがきっかけでした。 対物レンズは当時としては高価なアクロマートレンズ(凸レン ズと凹レンズを貼り合わせた凸レンズで、色収差を拡散除去してくれる)で、有頂天になった私は昼は太陽と雲の観測、夜 は主に月面の観測に明け暮れる事になりました。 雑誌を見て、なんとか望遠鏡を固定する架台と三脚が欲しいと思い、 廃材とガラクタ部品でとうとう作り上げてしまいました。

月面を観察して、スケッチをするだけでは物足りなくなった私は、なんとか月面写真を撮影したくなりました。 そうは言っ てもお金はまったくありません。 何年か前に父に買って貰った富士写真フィルムの「フジペット」と言う6X6版の「お 子さま用カメラ」があるのを思い出しました。 カメラと言っても現在の使い捨てカメラに遙かに及ばない、超原始的なカ メラで、50ミリの固定焦点・固定絞りで、シャッターは、シャッターセット用に「1」のボタンを深く押し、次に「2」 のボタンを押すとカシャと切れるものでした。 フィルムの巻き上げも背面ののぞき穴を見ながら注意深く巻き上げのノブ をクルクル回す、と言った作りでした。 結局悩んだ末、分解してレンズとシャッター部をはずしたボデーに母から貰った 桐の箱(茶碗が入ってた)を取り付け、桐の箱の反対側に穴を開けてふたをする形にシャッターユニットを取り付けて、箱 の内側に別に手に入れた長焦点(110ミリ)レンズを貼り付けて固定焦点の長焦点カメラを自作・完成させました。 こ れを望遠鏡の接眼レンズの後方に固定する事によって月面写真の撮影ができる訳です。

自作カメラで撮影した私の記念すべき「第一号天文写真」がこれです。時に1964年(東京オリンピックの年、当時小学 校6年生)でした。






「第1号天体写真:月面写真」

1964年12月19日19:00撮影
D=30ミリ・ガリレオ式屈折望遠鏡(倍率30倍)
f110ミリ、F25、自作固定焦点カメラ
富士ネオパンSSS  露出約1/2秒


今と違い、何も無い時代に小学生の身で良くやったものだと我ながら感心(笑)してしております。 フィルムは当時は 富士写真のネオパンSSS(ASA200)か、コダックのトライエックス(ASA400)しかなかった時代ですから( 後にアグファ・イゾパンレコード/ASA800と言うのが発売されました)、感度不足を補う為に自分で増感現像を行う 必要がありました。 お金のない身でしたから当時発売されたばかりの便利な現像タンクを手に入れる事も出来ず、夜中に 皿現像をするしかありませんでした。(現像液は富士写真のパンドールでした) 初めてやった皿現像で、フィルムの膜面 を外側にして現像液の入っ皿に浸す様に、両手でフィルムの端と端を持ち、片手を上げて反対の片手を下げて、を繰り返し ていたので、キズだらけの作品となってしましました。



中学校に進学したのを機に、私の熱意に負けて父が始めての天体望遠鏡を買ってくれる事になりました。 父と 本郷の東大赤門前にあった「成東商会/ダウエル光学研究所」を訪れ、目の前で「受注生産」を始め、2,3時 間かかって組みあがった8センチ反射式(ニュートン式)経緯台を買ってもらった事はいまでも忘れる事ができま せん。 残念ながら鏡面も経緯台の回転/微動機構も極めてお粗末な作りで、以降長くこれに悩まされ戦い、改 良しながら使うことになりましたが、これで月面はもとより、金星・木製・火星・土星等多くの惑星を観測し、 スケッチ、写真撮影を行う事ができる様になりました。

左の写真がその望遠鏡です。

夜な夜な望遠鏡で宇宙の彼方を眺めていると、地上で繰り広げられている、日常のつまらない事で腹を立てたり いがみあったりしている人間社会がなんとも小さく見え宇宙の彼方にたまらないロマンを感じる毎日でした。













1965年11月27日の月面詳細スケッチ
(中学1年生当時)
「危機の海」近くの「オニール橋」近辺






















1967年8月24日の土星スケッチ
(中学3年生当時)

















月面、惑星(金星・火星・木星・土星)の観測の他、星雲星団、変光星の連続観測等、毎晩晴れていれば必ず観測を行い、数々の写真 撮影も行いました。



当時は自宅(東京都練馬区)もそれ程空が汚染されてなく、結構星も良く見えました。 左の写真は自宅の庭からの静止撮影ですが、 今では信じられない空は暗く、オリオン座のM42星雲もはっきりと見えています。 (左の写真)



その後アポロが月面に着陸、望遠鏡での観測にむなしさを感じる様になった頃から次第に観測から遠ざかる様になってしまいました(!)



「オリオン座」1966年3月16日19時44分
F1.9露出20秒コダックXパン/パンドール15分現像 






と、いう所でこのフォーラムは始まったのですが...

このフォーラムに出て来られるユーザーの皆様のお陰で、いつの間にか「メラメラと」天文への情熱が再燃し始めました! このMAF-NETの中でも、いつの間にか一番力を注ぐ様になってしまったのです。 

時に1998年11月、しし座流星群の観測が皮切りになりました。 12月には、中古・廃品の天体望遠鏡(13cm反射)と、これま た中古の赤道儀マウンティングを格安で入手、アマチュア精神を発揮して改造工事に取りかかり、6cm屈折ガイドスコープ 付の13cm反射赤道儀が完成、(総費用、26,000円!)これが決定的なカムバックとなりました。

30年振りに月と木星を覗いた瞬間、全身に鳥肌が立ちました。 「そうだ、こんなに美しく、感動的な世界があったんだ! 」と、30年間もそれを忘れて生きてきた自分が信じられない思いで、一杯になりました。

人生の原点、「ロマンを追い求める姿」、天文こそがその象徴的な世界であることは疑う余地がありません。

そして、今...

今、日々めざしているのは「大口径・長焦点望遠鏡+冷却CCDカメラでの深宇宙への探訪」です! それも、「カラー写 真で、ありのままの姿を脚色なしで捉える事」です! 一番金がかかって一番技術が要って、一番努力しなければならない 、無限のレベルへの弛みないチャレンジの連続の世界ですが、私の天文へのロマンは、はっきり行く手を照らし出していま す。



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